主空気層及び主空気圧縮機についての解説

1. 主空気層
 一般的に主機メーカー要求を適用する。
 
7万トンレベルで言うと5m3・これは主機を以下の条件で起動できる回数が要求される
 主機の始動に圧縮空気を必要とする船舶には、少なくとも2個の空気タンクを設け、容易に切り替えて使用できるような
 装置を備えなければならない。
 この場合において、空気タンクの総容量は途中で充気することなく、次の(1)から(3)に掲げる回数だけ連続始動することができる
 ものでなければならない。
 ただし、機関及び推進軸系の配置が下記以外の場合は、本会が適当と認める回数とする。
 (1) 自己逆転の場合
   Z=12C
    Z :各機関の始動回数の合計
    C:機関及び推進軸系の配置によって定める定数で、次の値を標準とする。
     C=1.0 1機1軸を直結または減速装置を介して結合する場合
     C=1.5 2機2軸を直結または減速装置を介して結合する場合
        2機1軸減速装置付きで、機関と減速装置との間に嵌脱可能な継ぎ手を有する場合
     C=2.0 2機1軸減速装置付きで、機関と減速装置との間に嵌脱可能な継手を有しない場合
 (2) 逆転機を用いる場合及び可変ピッチの場合は前(1)に規定する回数の1/2とする。
 (3) 電気推進の場合
   Z=6+3(k-1)
   k :機関の数
   但し、kの値は3を超える必要はない。

 主機要求の圧力は一般的に3MPaですので
 フリー空気量としては 5m3 x 3MPa = 150Nm3となる。


2. 空気圧縮機(数および総容量)
 -1 主機の始動に圧縮空気を必要とする船舶には、2台以上の空気圧縮機を備え、かつ、いずれの空気タンクにも
   充気することができるような装置をそなえなければならない。
   ただし、シリンダに充気弁を備えるものは、その充気弁を主機駆動の空気圧縮機とみなすことができる。
 -2 前-1.の空気圧縮機のうち1台は主機以外の動力によって駆動されるものでなければならない。
 -3 空気圧縮機の総容量は大気圧状態から1時間以内に少なくとも上記に示す回数だけ連続始動できる
   状態に空気タンクを充気することができるものでなければならない。
 一般的に空気タンク1台の容量を1台の空気圧縮機を用い1時間で充填できることが要求される。
 7万トンレベルで言うと 5m3/h x 3MPa これからすると一般的ではあるがモーター仕様としては
 37kw x 1200min-1程度が一般的である。
 一般的に2台ではあるが最近NOx規制で国際航海する場合に可成りの量の圧縮空気が必要となるため
 3台設ける場合は増えている。

 主空気圧縮機は容量が大きくなると冷却水が必要となり、一般的には低温冷却水が使われる

3. 非常用空気圧縮機
 -1 上記主空気圧縮機を駆動する原動機が始動に圧縮機を必要とする場合(一般的に電動)には、別に独立の動力に
 よって駆動される非常用空気圧縮機をそなえなければならない。
 -2 非常用空気圧縮機の原動機は、始動に圧縮空気を必要とするものであってはならない。
 -3 非常用圧縮機の容量は、主空気圧縮機原動機を容易に始動するために、十分な空気量を
   タンクに充気することができなければならない。
   この場合、原動機の起動を容易にするために別に非常用の空気タンクを備えることは差支えない。
 最近では電動モーターが一般的な原動機ですので上記の考えはほぼ適用されないが
 船のブラックアウト時、主機を起動するまでの時間が制限され非常用圧縮機で発電機を起動、
 主圧縮機起動、主空気層充填後主機起動となる場合が多いので最低発電機1台が始動出来る
 容量の非常用空気圧縮機が必要となる場合が多い。